2022/05/28

2022 年度の雇用保険料率の決定と年度更新

今回は2022 年度の雇用保険料率の決定と年度更新について、少しお勉強したいと思います。

 

 雇用保険料率は財政状況に応じて毎年度、見直しが行われていますが、2022 年度の雇用保険料率についても 3 月末に決定しました。2022 年度は例年と異なり、年度の途中で雇用保険料率が変更となります。

 

1. 2022 年度の雇用保険料率

 雇用保険の財政は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、急激に悪化しました。一 方で、コロナ禍で雇用保険料率が引き上げられることに対する労使の負担感も踏まえ、2022 年度については段階的に引き上げられることになりました。

 

 具体的には下表のとおり上期(2022 年4 月 1 日から 9 月 30 日まで)と下期(2022 年 10 月 1 日から 2023 年 3 月 31 日まで)に分けて変更されます。上期の雇用保険料率は、2021 年度と比較し、会社負担が 0.5/1,000 引き上げられるのみとなります。そのため、上期については給与から控除する従業員負担の雇用保険料率を変更する必要はありません。

 

2022年度の雇用保険料率

【上期】2022年4月1日~2022年9月30日

 従業員負担会社負担合計
一般の事業3/1,0006.5/1,0009.5/1,000
農林水産・ 清酒製造の事業4/1,0007.5/1,00011.5/1,000
建設の事業4/1,0008.5/1,00012.5/1,000

 

2. 注意が必要な年度更新

 2021年度の確定保険料と2022年度の概算保険料を申告・納付する2022年度の年度更新では、2022年度の概算保険料(雇用保険分)について、上期の概算保険料額と、下期の概算保険料額を賃金集計表で計算し、その合計額を2022年度の概算保険料として納付することになっています。

 

 例年であれば、前年度の賃金額の合計を集計することで、確定保険料と概算保険料を算出できますが、2022年度の年度更新は複雑になります。例年と同じように集計すると差額が高額になってしまうため、2022年度の年度更新は差額を調整する必要がありますので注意してください。

 

2022年度の雇用保険料率

【下期】2022年10月1日~2023年3月31日

 従業員負担会社負担合計
一般の事業5/1,0008.5/1,00013.5/1,000
農林水産・ 清酒製造の事業6/1,0009.5/1,00015.5/1,000
建設の事業6/1,00010.5/1,00016.5/1,000

 

 これまで雇用保険の財政が安定していたことから、雇用保険料率は低く抑えられていました。

 

 上期からの急激な引き上げは見送られたものの、下期の引き上げは従業員の生活に影響が出てくることもあります。企業側のゆとりを持った年度更新、従業員へ早めの周知といった対応も検討しなくてはなりませんね。